| 生活空間の至るところに流れたシングル「At The River」以降、着実に停滞期を脱しつつあるトム・フィンドレイとアンディ・ケイトー。本作『Lovebox』は、うわべは従来の延長線上にあるおとなしいアルバムのようだが、このデュオの折衷主義的なテイストがついに行き着くところまで行ったという内容だ。前年の『Goodbye Country (Hello Nightclub)』から始まったことが本作で完結しているのだ。 4作目のアルバムとなる本作は、グルーヴ・アルマダがロンドンにて隔月で開催しているクラブ・ナイトにちなんだタイトルを持ち、卓越したDJならではの興奮や多彩なプレイを収めている。オープニング・トラック「Purple Haze」にはジミ・ヘンドリックスのような大見得をきったところはないが、これまでのグルーヴ・アルマダのロックン・ロール・チューンの中では間違いなく最高だ。ファンク風味のセクシーなヒップ・ホップ「Groove Is On」とアーバン・ソウル「Think Twice」ではネナ・チェリーがなまめかしい歌声を披露。気だるいビートと渦巻くような効果音がさえる「Remember」は、彼らのダウン・ビートの頂点を示している。 ところで、本作にはダンス・フロアをわかせる活発なチューンも豊富だ。MC M.A.D.のラップ、鼓動のようなベース、うずくようなギター・フックをミックスした「Madder」はガツンとくるし、「The Final Shakedown」は攻撃的なレゲエ調ヴォーカルにもかかわらず混じりっけなしのハウス・アンセムといえる。だが、もっとも驚くべきトラックをひとつ挙げるなら、豊かで思いきりソウルフルに練り上げられた「Hands of Time」だ。ウッドストックに出演したフォークの巨匠リッチー・ヘヴンスの情感あふれる歌声をフィーチャーし、失われた愛の思い出をゴージャスにつづっている。『Lovebox』は多彩で間口の広いアルバムだ。リスナーを引きこまずにはおかない型破りなパーティー・スピリットは数々の先入観をものともしないのである。(Christopher Barrett, Amazon.co.uk) |